私は中学校二年生の時クラスメイトからのいじめに遭い、不登校になりました。一年半引きこもっていても義務教育の範疇であったため、留年などはなく中学卒業は出来ました。しかし、高校に行けるかどうか悩んでいました。人間関係を築ける自信がなくなっていたのです。そんな時、先生から通信制高校の話を聞きました。自宅学習がメインで週に一度、高校に授業を受けに行く仕組みであれば学業に集中できると思い、そちらに通うことにしました。いざ通い始めると、周囲で私同様に授業を受けているひとたちも私と似た目的を持っている分、過度な干渉をしてこず、校内は会社のような一定の距離感が保たれていました。かといって完全に孤立した集団というわけではなく、部活動や通っている地区別の集会など人間関係の構築に向いた要素がいくつかあり、積極性を持てば友人を作ることもできそうでした。無理せず自分の時間を使って静かに勉強していくのは、非常に落ち着いた気持ちになれました。ただ、通信制は通常の学校と違ってテストの答案提出で単位を取得していくのですが、授業を受けるタイミングと提出日が合わなかった場合が少し問題でした。誤答が多く再提出となった際、先生のアドバイスなどが一切もらえないので、全て自分で調べて正解を見つけるしかないのです。私の場合、計算式を覚える必要があり正解が毎回違う数学が苦手だったので参考書や教科書を見ても理解が遅く、何度も再提出を受けて時間を費やしました。友人がいれば助言などもらえたかもしれませんが、学校と自宅が往復3時間かかり、授業が終わってすぐ帰宅していて部活動にも校友会にもほとんど参加しなかったため、困った時に頼る人がいませんでした。その点は少しだけ後悔しています。けれど、もし通信制高校という存在を知らなかったら、いじめで疲弊した精神のままで定時制高校に通うことになり、最悪の場合は中退していたかもしれません。のびのびと勉強ができたあの三年間のおかげで、私は高卒になれて、その後の人生にも良い影響がもたらされました。いま同じように進路に悩んでいる方は、皆と違う道を歩むのに抵抗があったとしても、理解のない人々に何か言われてしまっても、自分の後々に関わることとして選択肢のひとつに数えていていいと思います。
通信制高校があってよかった
